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“ 木の伐採について ”
木を切るということにはプラスとマイナスの局面がありますが、
ポジティブな側面は人間側にとってのことが多く、
自然側はネガティブな局面に立たされてしまいがちです。
自然と共生していくために、
自分たちの行動と自然のニーズとそのバランスを見つけらるよう努めていきませんか?


森の伝道師
アンディ
スコットランドから軽井沢に渡り、森を再生したり、お庭づくりに携わっています。
森の仕組みや動物たちの生態にも詳しく、動物たちに優しい庭づくりや木の切り方などを教えてくれます
この木は、切ったほうがいい?
切らない方がいい?
1. 危険な木:
その木は本当に危険? この木が倒れそう!?

「この枝が折れそうだから切ろう! 」このように木を切る時に、最も一般的な理由は“危険性”です。 しかしながら、その危険とは『人間にとって危険』というだけのこと。 また、もし自分の土地の中に倒れている古い木などがある場合には、見た目が悪い、汚いから取り除いたほうがいいのではないか?と考えます。
2. 野生環境:
老木・倒木・枯れ木は野生の生き物のためになっていること

地面に倒れた樹がキノコなどの菌類によって分解され、土壌に栄養分が供給されると、そこは動物や昆虫が暮らすための場所になります。 老樹木のウロ(樹洞)なども鳥や野生動物にとってありがたいものなのです。 古木こそが、森のみんなの栄養や棲家だった!? 木のウロ:樹木の幹や太い枝にできた洞窟状の空間。 樹皮がはがれて内部が腐ったり、キツツキ類が巣穴を掘ったりすることによって形成される 樹洞(じゅどう):樹皮がはがれて木のなかが腐るなどして隙間が開き、できた洞窟状の空間をいう。主に広葉樹でできる。大きいものはがらんどうとも。
3. 植物や植生について:
木の伐採が与える、他の植物への影響や関係性

背の高い木は、苔や地衣類をはじめその下で暮らしている植物に対し日陰を提供したり、近くで育つ植物や他の木とも共生関係にあったりします。そのため、もし伐採が行われた時には、周りの植物にも大きな影響を与えます。例えば、日陰だったはずの環境が急に日向になることで、生きることのできない状況を生んでしまうこともあるでしょう。これは逆のことも言えて、伐採をすることで光が差し込み育つことのできる植物があったり、次世代の森を育てていくためには伐採が必要な時もあります。(次の章でも説明)いずれにせよ、その木の周りにどのような植物が共存し、どのような環境であるかを理解することが大切です。地衣類:菌類と藻類が共生関係を結んだ複合体(木の枝や幹などから生えたり、張り付いたようなもの)
4. 森のサイクルについて:
伐採は森林のサイクルを混乱させてしまう?

森林や木々が集まった場所には、さまざまな生育段階があります。老木が倒れた場所には、光が差し込み、若い木が成長しやすくなる機会を与えるなど、多様な樹齢や木の種類が、森の中にモザイク状に配置させることが、森が長く存在するために重要です。ただ唯一ある大木を伐採してしまうと、その下が同じ時期に成長し、同じ樹齢の木になってしまうので、残しておくほうが良いでしょう。
5. ダメージを受けた木について:
この木は傷んでいますか?

木の近くに建物を建設すると、根は損傷します。それまでよりも支えが少なく、水へのアクセスも少ないために、強風時に苦しむ可能性があります。またもう一つの例として、車を根本に駐車した場合には、地面が圧迫されてしまいます。
6. 建設への障害:
木を保護するために、建物や道路の建設場所を変更できる?

道路・住宅・オフィスなどの新建築が計画されている場合、元々生えていた木が邪魔になってしまう場合があります。
7. モノカルチャー:伐採により、バランスが崩れる?

森の姿がすべて同じ種類木である場合、おそらくそれは、過去に森林のバランスを崩す何かが起こった可能性があると言えます。(例:植林など)そのため、一つの種類が優勢しすぎる場所での伐採は、環境にとっては有益な場合があります。4.にもあるように、多様な樹齢や木の種類が、森の中にモザイク状に配置させることが、森が長く存在するために重要だからです。反対に、さまざまな種類が生息する森で、その種類が一本しかないのに伐採をしてしまう場合には、その種類が存続できなくなる可能性があるということです。モノカルチャー:単一品種の作物を栽培すること
8. 木材や薪のための伐採:
伐採は一気に?それとも少しずつ?

木は材木用として植えられたり、冬の薪のために切られることがありますが、 一度に大量の木を皆伐してしまうと生態系に大きな衝撃を与えてしまうため、”段階的に少しずつ” 間伐していくほうが良いでしょう。
9. 樹木とその土地の関係性:
その木がもたらしている役割を考えたことがありますか?

木が伐採されるということは、地中に影響や変化をもたらしていることがあることを、人々は気づいていないことがよくあります。例えば、植物の根は土壌の流出を防いでいますが、伐採によりそれができなくなり、大雨などで地滑りや土砂災害などを引きを越すことがあります。
10. 美的:
その伐採は、個人の理想のため?それとも自然のため?

人は"自然"と言うイメージが好きです。ただこのイメージは、ありのままの自然というより、人が勝手に作った、時に人工的で清潔で無機質なイメージに置き換えられている事があります。本来、自然は時に残酷で恐ろしく、得体が知れないものです。また、街の景観づくりや住宅建設等にしても、人は本来の自然の摂理や在り方を理解する事なく、人にとって都合の良いように、美観重視で樹木を伐採したりする場合があります。
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